研究室紹介と留学希望者へのメッセージ

(2021年度まで。 以降については企画中)

研究室を紹介します

★どんなことをする分野?

災害ボランティアに関するグループ・ダイナミックスを理論的かつ実践的に研究します。災害は、人々のいのちを奪い、くらしに大きな影響をもたらします。また、災害によって、社会に新たな問題が生じたり、災害前から潜在していた様々な問題が露わになったりします。災害ボランティアは、救急救命から復旧、復興、防災に至るまで、地域に生きる人々と一緒に、くらしや社会の改善に向けて活動します。ボランティア行動学分野では、災害ボランティアに焦点を当て、地域社会とそこに生きる人々のくらしのベターメントを目指して、研究室と現場を往復するアクションリサーチを展開します。研究室では、理論的な文献を読んで、実践的に議論します。現場では、様々な実践活動を展開し、理論的に考えます。具体的には、様々な被災地における災害ボランティア活動への参加を通して、災害ボランティアに参加する動機に関する心理学的研究、災害ボランティアの組織化やネットワークの分析といった社会心理学的研究、そして、現代社会における災害ボランティアや災害NPOの動向に関する社会学的研究など幅広く様々な問題に取り組みます。なお、現場での活動については、(認特)日本災害救援ボランティアネットワーク(西宮市)と連携しながら進めます。

現時点での主な現場は、以下の通りです(新たに災害が発生すると増える場合あり)。

岡山県倉敷市真備町・岡山県矢掛町、愛媛県西予市野村 
                   2018年西日本豪雨災害の被災地
大阪府吹田市:2018年大阪府北部地震の被災地

熊本県益城町:2016年熊本地震の被災地

岩手県野田村:2011年東日本大震災の被災地
兵庫県佐用町:2009年水害の被災地

中国四川省:2008年四川大地震の被災地

新潟県刈羽村:2007年中越沖地震の被災地

新潟県小千谷市塩谷集落:2004年中越地震の被災地

兵庫県西宮市:1995年阪神・淡路大震災の被災地

 

★研究分野の基本方針

1.社会に生じている問題に実際に関わります。

2.理論的考察を重視します(単に災害ボランティア活動に参加するだけではX)。

3.現場での実践活動を重視します(が、それが単位になるわけではありません)。

4.研究方法は問いません(定量的、定性的どちらでもOK:テーマ次第です)。

5.自由に動くことを奨励しますが、安全、および、現場との調整を徹底します。

6.国内外、研究者・実践家を問わず、様々な方々と研究・実践交流を展開します。


★研究室のスケジュール

1.講義:共生行動論Iなど

2.演習:毎週火曜日午後は、研究室のゼミの時間です。各参加者の研究の進捗状況を発表してもらい議論するほか、内外の基礎的な文献、および、国内外のボランティア研究、災害研究の最新の研究成果を読んで発表し、参加者と議論します。なお、基礎的な文献に関しては、哲学、社会学、教育学、人類学、障害学、生命倫理学、統計学、数学、など分野を問わずに読み、時には著者を迎えて議論します。
3.実習:研究室がお世話になっている現場に行って学びます。

4.リサーチミーティング:個別に研究を指導します。

5.ABAW(A Book A Week), APAD(A Paper A Day):各週で書評を交換し、隔日で論文批評を交換します。

6.その他、他学年のメンバーと自主的研究会を実施します。



★恒例のスケジュール

1月17日 阪神・淡路大震災の被災地を訪問します。

3月11日 東日本大震災の被災地を訪問します。

春 中越地震(2004)の被災地小千谷市塩谷集落で、

田植え交流会に参加します。

夏 投稿論文、卒論・修博論について夏合宿をします。

秋 塩谷集落で、稲刈り交流会に参加します。

秋 大学内で集中的に論文指導をします。中間発表もこのときに。

10月23日 中越地震(2004)の被災地を訪問します。

冬 西宮市で行われている地域防災活動に参加・見学します。

 

★研究室で書かれた論文のテーマ(一例)

○震災復興における「語り」の変容過程

○未被災地の「被災地のリレー」参入に関する研究

○災害ボランティアの経緯およびそのネットワークの変遷に関する研究

○<つぶやき>を通してみる水害の記憶に関する考察

○とけあう災害ボランティア

○災害を契機とした「学習する組織」に関する考察

○防災教育とその新しいツール開発に関する研究

○被災者中心の支援に関する一考察 

○被災地のリレーに関するシミュレーション

○被災写真の返却活動と記憶・喪失

○被災者のニーズ

研究室では・・・

研究室メンバーと研究

2020年度
学部3回生 1名
学部4回生 4名
博士前期課程1回生 0名
博士前期課程2回生 1名
博士後期課程 1名
研究生 2名
(うち、留学生3名)

2019年度
学部3回生 4名
学部4回生 2名
博士前期課程1回生 1名
博士前期課程2回生 2名
博士後期課程 1名
(うち、留学生2名)

研究テーマなど追加していきます。

研究室で選んだ必読文献リスト

研究室の基本文献リスト100
作成プラン


1)GD理論文献から、基礎的・重要なもの5つ、補助的・応用的なもの5つ、古典を5つ

2)災害研究文献から、基礎的かつ重要なものを5つ、重要なキーワードを10個挙げる

3)各キーワードに対して、更に日本語論文5つ、英語論文3つ

 

◯「研究室の基本文献リスト100」

1. Theory: GD理論文献

・基礎・重要 5冊

杉万『GD入門』、大澤『身体の比較社会学Ⅰ』、廣松『存在と意味I』、見田『現代社会の存立構造』(大澤『――を読む』)、ガーゲン『もう一つの社会心理学』、矢守『アクションリサーチ―実践する人間科学』

 

杉万『コミュニティのグループ・ダイナミックス』、「人間科学における主観的言説の重要性」、廣松『存在と意味II』、真木『自我の起原』『時間の比較社会学』、吉森『アナトミア社会心理学』

 

・補助・応用 5冊

(学習理論)ヴィゴツキー『思考と言語』レイヴ・ヴェンガー『状況に埋め込まれた学習』、

(ANT)ラトゥール『虚構の近代』、

(現代の思想)浅田『構造と力』柄谷『世界史の構造』、

(主体/客体論)國分『中動態の世界』、

(想起・記憶)佐々木正人『想起のフィールド』、供述心理学

(主体化)パウロ・フレイレ『被抑圧者の教育学 新訳』2011年 亜紀書房

(誤配論)東『郵便的』『観光客の哲学』、

(ナラティブアプローチ)浅井『自己の物語論的接近』野口裕二『』

(会話・言説)鈴木『ディスコ―スの心理学』

(オーラルヒストリー)保苅『ラディカルオーラルヒストリー』

(存在論的転回)エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ カストロ『食人の形而上学』、菅原和孝『ことばと身体「言語の手前」の人類学』2010年 講談社、メイヤスー『有限性の後で』

(活動理論)ユーリア・エンゲストローム (著), 山住 勝広 (翻訳), 山住 勝利 (翻訳), 蓮見 二郎 (翻訳)ノットワークする活動理論: 』2013年 新曜社

(障害学)杉野『障害学:理論形成と射程』星加 良司 (著)『障害とは何か―ディスアビリティの社会理論に向けて』2007年 生活書院、立岩『私的所有論』

(当事者)『当事者研究の研究』中西・上野『当事者主権』、上野『ケアの社会学』

(プラグマティズム)ローティ『偶然性アイロニー連帯』

(メディア)スーザン・ソンタク『写真論』1979年 晶文社、マクルーハン

(現代)大澤真幸『不可能性の時代』2008年 岩波書店

 

 

KARL E. WEICK『Making Sense of the Organization』

宮地 尚子 (著)『環状島=トラウマの地政学』2007年 みすず書房

グレーバー『負債論』

 

・研究法

松澤『臨床で書く』

パーカー『ラディカル質的心理学』

小田『エスノグラフィー入門』

やまだようこ『質的心理学ハンドブック』

佐藤『質的データ分析法』

 

・古典 5冊

マルクス『資本論』、レヴィン『社会科学における場の理論』、フロイト『精神分析入門』、ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』、レヴィ=ストロース『野生の思考』、フーコー『知の考古学Ⅰ性の歴史』、アマルティア・セン『不平等の再検討』1999年 岩波書店、ホワイト『ストリートコーナーソサエティー』、ジェイムズ『プラグマティズム』、イヴァン・イリイチ『脱学校の社会』、『コンヴィヴィアリティのための道具』2015年 ちくま学芸文庫

 

 

モース『贈与論』、

 

アーレント『人間の条件』

ヴォルテール・中川信(翻訳)『寛容論』2011年 中公新書

R. ローティ (著)、冨田 恭彦 (翻訳)『連帯と自由の哲学二元論の幻想を超えて』2014年 岩波オンデマンドブックス

アマルティア・セン『ネガティブ・ケイパビリティ答えの出ない事態に耐える力』2017年 朝日選書

デューイ『経験と教育』

Cartwright.D& Zander.A 『Group Dynamics; Research and Theory』

 

 

2. Research: 災害研究文献

・基礎 5冊

渥美公秀『災害ボランティア』

Everything in its path

Handbook of Disaster Research

Heat Wave

 

Perry What is a Disaster?

Oliver-smith angry earth

渥美・矢守・近藤・宮本『防災・減災の人間科学―いのちを支える、現場に寄り添う』、渥美「被災地のリレーから広域ユイへ」、林『災害エスノグラフィーとインタビュー』、矢守・宮本編『現場でつくる減災学』

片田『人が死なない防災』、仁平『「ボランティア」の誕生と終焉』、矢守『夢見る防災教育』、清水『噴火のこだま』、河田『津波―減災社会を築く』、Goltz Tsunami Tendenko

天田城介・渡辺克典『大震災の生存学』2015年 青弓社

植田今日子『存続の岐路に立つむら』

Fred Krueger (編集), Greg Bankoff (編集)Cannon (編集),『Cultures and Disasters: Understanding Cultural Framings in Disaster Risk Reduction 』2015年 Routledge

Susanna M. Hoffman (編集), Anthony Oliver-Smith『Catastrophe & Culture: The Anthropology of Disaster 』2002年 School of American Research Advanced Seminar Series 

レベッカ・ソルニット (著), 高月園子 (翻訳)『災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか 』2010年 亜紀書房

アンドリュー・ゾッリ (著), アン・マリー・ヒーリー (著), 須川 綾子 (翻訳)『レジリエンス 復活力--あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』2013年 ダイヤモンド社

D・P・アルドリッチ (著), 石田 祐 (翻訳), 藤澤由和 (翻訳)『災害復興におけるソーシャル・キャピタルの役割とは何か:地域再建とレジリエンスの構築』 2015年 ミネルヴァ書房

鈴木 江理子 (著, 編集)『東日本大震災と外国人移住者たち (移民・ディアスポラ研究2) 』 2012年 明石書店

外国人地震情報センター (編集)『阪神大震災と外国人―「多文化共生社会」の現状と可能性 』1996年 明石書店

Mercer, J., Gaillard, J. C., Crowley, K., Shannon, R., Alexander, B., Day, S., & Becker, J. (2012). Culture and disaster risk reduction: lessons and opportunities. Environmental Hazards, 11(2), 74-95.

Benadusi, M. (2014). Pedagogies of the unknown: Unpacking ‘culture’ in disaster risk reduction education. Journal of Contingencies and Crisis Management, 22(3), 174-183.

Bates, F. L., Fogleman, C. W., Parenton, V. J., Pittman, R. H., & Tracy, G. S. (1963). The social and psychological consequences of a natural disaster: A longitudinal study of Hurricane Audrey.

仁平『ボランティアの誕生と終焉』、中山『ボランティア社会の誕生』

 

・キーワード 10個×(日本語5論文+英語3論文)

 

「災害ボランティア」、「減災・ヴァルネラビリティ・レジリエンス」、「防災教育」、「災害復興」、「災害救援」、「コミュニティ」、「国際協力・NPO・NGO」、「災害伝承」、「心的外傷・ケア」、「災害情報・リスクコミュニケーション」

 

研究室の行事予定

2019年度

4月3日(水) オリエンテーション

4月4日(木) 「阪大もん」 

4月9日(火) 授業初回 歓迎会

5月6日(月)-9日(木) 四川 日中防災教育プロジェクト事前打ち合わせ

5月17日(金)-20日(月) 実験実習@塩谷(田植え)

6月17日(月)-23日(日) 四川 日中防災教育プロジェクト

6月18日(火) 大阪北部地震1年

7月6日(土)-8日(月) 西日本豪雨災害1年

7月17日(水)-19日(金) 災害学会@ニューカッスルUK

8月4日(日)-7日(水)から2泊3日 研究室合宿@福井

8月9日(金) 佐用町水害10年

8月17日(土)-25日(日) コミュニティ・ラーニング野田村

9月11日(水)-13日(金) 日本心理学会@立命館大学

9月21日(土)-22日(日) 日本自然災害学会@釧路

9月21日(土)-22日(日) 日本質的心理学会@明治学院

9月21日(土) 台湾集集大地震20年

9月下旬 実験実習@塩谷(稲刈り)

10月16日(水)-18日(金) IDRiM@ニース

10月19日(土)-20日(日) 日本グループ・ダイナミックス学会@富山

10月23日(水) 中越地震15年

11月9日(土)-11月10日(日) 日本災害復興学会@鳥取

1月7日(火)-13日(月) NVNADカレンダー市

1月17日(金) 阪神・淡路大震災25年

留学希望者へ

まず、以下の基本方針やスケジュールを読んで、自分が目指す道と合致しているか、じっくりと検討してみてもらえませんか?その上で、受験してみようと考えた場合には、末尾の課題を渥美宛に電子メールで送ってください。

★概要
(1)団体や地域に長期にわたって真摯に関われるかどうか(真摯に関わるとはどういうことか)~自分の主張だけをしているようでは話にならない。

(2)博士課程なのだから、国内外の学会発表はもとより国内外の学術雑誌に審査付き論文が掲載できるように、いわば、夜を徹して指導するが耐えられるかどうか。

(3)各地の学術的・実務的研究会等に出て行って、研究室の院生として責任をもって対応できるか。

(4)自分の動きについて、1つ1つきちんと報告し、相談し、指導を素直に受け入れられるか。

(5)指導教員が様々な文脈でサポートすべく動いていることを加味して(空気を読んで)動けるかどうか。

(6)これらをきちんとやれなければ、最大6年、最悪学位なしの修了とすることもあるが受け入れられるかどうか(現実には、そうならないように指導するのですが、さらに現実には、学位なしで退学した者もないわけではありません)。

(7)こうした方針の下で現在複数の院生が研究室としてそれなりの一体感をもち、成果を上げ始めていますので、その中できちんとやっていけるかをじっくり考えて判断するように求めます。


★研究分野の基本方針
1.社会に生じている問題に実際に関わります。フィールドワークを行います。
2.理論的考察を重視します(単に災害ボランティア活動に参加するだけではX)。
3.現場での実践活動を重視します(が、それが単位になるわけではありません)。
4.研究方法は問いません(定量的、定性的どちらでもOK:テーマ次第です)。
5.自由に動くことを奨励しますが、安全、および、現場との調整を徹底します。
6.国内外、研究者・実践家を問わず、様々な方々と研究・実践交流を展開します。
7.世界に通じる高度な研究を目指します。
8.英語で議論できるようにします(英会話は当然と考えてください)。

★研究室スケジュール
1.講義:災害ボランティアに関する講義(日本語、英語)を受講します。
2.演習:毎週火曜日午後に行われるゼミに出席します。研究内容の発表、日本語、英語の文献を読みます。ただし、文献は、ボランティア関係に限定しません。哲学、社会学、人類学、教育学、障害学、統計学、文学など幅広く読みます。
3.ABAW(A Book A Week)、APAD(A Paper A Day)に参加します。ABAWは、2週間に1回書評を書いて共有します。APADは、1週間に3本の日英の学術論文を読み短くまとめたものを共有します。
4.合宿に参加します。夏には論文の進捗状況を確認し、推進する合宿。秋には、大学にこもって研究する合宿を行います。
5.国内外の学会で発表します。今年度は、日本グループ・ダイナミックス学会、日本心理学会、日本質的心理学会、日本災害復興学会、日本自然災害学会、IDRiM(2019年度はフランス)、国際応用人類学会(アメリカ)などに参加して発表してもらいます。
6.他学年のメンバーと自主的研究会を実施します。
7.他の学生のフィールドにも出かけます。
8.メールでのやりとりは、迅速かつ丁寧に行うことを課します。

★課題
1.これまで行ってきた研究の要約(400字)
2.本研究室を志望する理由(400字)
3.大学院で行いたい研究(400字)
4.大学院を修了したらどうするか(400字)
5.「災害ボランティア」(弘文堂)第2章の要約と批評(1600字程度)
6.Atsumi, T. (2007). Aviation with fraternal twin wings over the Asian context Asian Journal of Social Psychology, 10, 32-40.の感想

その時の研究室の実情(例えば、人数)と、これらを総合的に評価して、面接するかどうかを判断し、連絡します。





連絡先 atsumi(atマーク)hus.osaka-u.ac.jp